衛生管理計画の実施・記録
ここまで衛生管理計画として一般的衛生管理、重要管理ポイントを作成してきました。しかしHACCPにおいて大切なことは、衛生管理計画を作成することそれ自体ではありません。その計画に沿って衛生管理を実施し、その結果をきちんと記録することです。この記録によって衛生管理を「見える化」することがHACCPの目的です。
これは食品関連事業者のHACCPへの取り組みが、新規の営業許可申請の際ではなく、主に継続・更新の際の要件となっている事からもわかります。HACCPをきちんと実施して継続して記録をしていますか?ということを聞かれるわけです。
記録があることより衛生管理が日々行われていることが証明できるのはもちろんですが、記録の見直しによって現在の衛生管理の問題点が明らかになり、改善点も見えてきます。衛生管理の行き届いた店舗は、食品の安全とともに、お客様の信頼や安心につながりますから、継続した衛生管理計画の実施は店舗の営業にとって非常に大切なことです。ぜひ習慣づけて実施してください。
下の表は、公益社団法人日本食品衛生協会が出している一般飲食店向け手引書にある実施記録様式の一部を書き起こしたものですが、事業者によっては既存のチェックシートなどもあるでしょうから、それらを有効活用して使いやすい実施記録を作成するのも良いと思います。記録は最低1年間は保存するようにしましょう。
繰り返しになりますが、HACCPの「見える化」において重要なことは、実施した内容を客観的な記録として残し、後日確認・検証できる状態にすることです。そのため記録が「良」で埋め尽くされることはもちろん良いことですが、それ以上に大切なことは、「否」が生じた際にその原因や衛生管理計画書に従って対処を行ったかについて、きちんと特記事項の項目等を利用して記録しておくことです。また確認を怠ったならば、その怠った事実をそのまま記録とし、何故怠ったか、どうすればきちんと記録できるのかを検証することです。ありのままの事実を記載し、その記録をもとに検証して改善していく、これがHACCPのポイントであることに注意してください。