食中毒の基礎知識③
- 代表的な食中毒の症状を知る
大部分の食中毒原因ウィルス・細菌は、下痢、嘔吐、腹痛を起こします。これに加えて感染型食中毒菌の場合は、発熱を伴います。
腸管出血性大腸菌は、重篤な溶血性尿毒症や脳症を伴う場合があります。
ボツリヌス菌毒素は、神経症状が主体で重篤例も多いです。
黄色ブドウ球菌とセレウス菌の毒素は嘔吐が主体です。
カンピロバクターは、ギランバレー症候群を続発する場合があります。
- 食中毒細菌が増殖できる条件を知る
食中毒細菌が増殖できる条件を知ることは、当然増殖を防ぐ手段を知ることにつながります。あくまで目安であり、個別の細菌によって差がある点には注意しましょう。
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- 栄養素
- 温度 5~45℃で増殖、30~40℃が特に増殖しやすい温度です。
- pH(水素イオン濃度)4.4~11.0で増殖、6.0~8.0が最適環境です。
- Aw(水分活性) 0.92以上(ただし例外もあります。)
- 酸素
- 酸素と菌の増殖の関係を知る
酸素の存否下における増殖の可否によって4種類あります。酸素のない保存方法(缶詰、レトルトパウチ製品)などで特に注意が必要です。
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- 偏性嫌気性菌(ボツリヌス菌、ウェルシュ菌)
酸素を嫌い、酸素のあるところでは増殖できない菌です。
- 通性嫌気性菌(病原大腸菌、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌など)
酸素があってもなくても生存できる菌です。
- 微好気性菌(カンピロバクター)
通常の酸素状況下では増殖できないが、それ以下の低濃度状況で増殖する菌です。
- 偏性好気性菌
酸素がないと生存できない菌です。ただし食中毒は酸素のない腸内で作用することが一般であることから、あまりこの菌は問題となりません。