手順6(原則1)ハザード分析の実施③
<ハザードの列挙>
フローダイアグラムから各工程を順番に転記しながら、各工程について考えられるハザード(危害要因)を生物的ハザード、化学的ハザード、物理的ハザードに分けて考察していきます。
ハザードの内容は原料や保管方法、加工手段などによって様々です。HACCPチームメンバーがそれぞれの長所を生かし、ブレインストーミングのような形で次々挙げていくようにします。その際そのハザードが危険かどうか、重大かどうかは次の(3)で考察するので、ここでは深く考えず、潜在していることが予想されるハザードを列挙してきます。
またハザードの存在する状態についても併せて記載しておきます。物質名だけの記載では何が原因でそのハザードが生じるのかわかりません。具体的には、そもそもその原材料に存在する場合(存在)、その工程で生き残ってしまう場合(生残)、その工程で増殖する場合(増殖)、その工程で混入する場合(混入)、その工程で外から汚染する場合(汚染)などを記載します。
鯖の味噌煮による記載例
(1) 工程 | (2) (1)で予想される ハザード (生物・化学・物理) | (3) | (4) | (5) | (6) |
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1.受入 (冷凍鯖) | [生物的] (非芽胞菌) ・腸炎ビブリオの存在 | ||||
(芽胞菌) ・ボツリヌス菌(蛋白非分解型)の存在 | |||||
(寄生虫) ・アニサキスの存在 | |||||
[化学的] ・ヒスタミンの存在 | |||||
・アレルゲン(鯖)の存在 | |||||
[物理的] ・硬質異物の存在(釣り針など) | |||||
2.受入 水(水道水) | [生物的] なし | ||||
[化学的] なし | |||||
[物理的] なし | |||||
3.受入 (冷凍スライス生姜) | [生物的] (芽胞菌) ・セレウス菌の存在 | ||||
[化学的] ・農薬の存在 | |||||
[物理的] ・異物の混入 | |||||
4.受入 (調味料、味噌) | [生物的] なし | ||||
[化学的] ・アレルゲン(小麦・大豆)の存在 | |||||
・農薬の残存 | |||||
[物理的] なし | |||||
5.受入 (包装材、ラベル) | [生物的] なし | ||||
[化学的] ・有害化学物質の存在 | |||||
[物理的] ・異物の混入 | |||||
6.保管 (冷凍鯖) | [生物的] (非芽胞菌) ・病原微生物の汚染 ・病原微生物の増殖 | ||||
[化学的] ・ヒスタミンの産生 | |||||
[物理的] なし | |||||
7.保管 (冷凍スライス生姜) | [生物的] (非芽胞菌) ・病原微生物の汚染 ・病原微生物の増殖 | ||||
[化学的] なし | |||||
[物理的] なし | |||||
8.保管(調味料、味噌) | [生物的] (非芽胞菌) ・病原微生物の汚染 | ||||
[化学的] なし | |||||
[物理的] なし | |||||
9.保管 (包装材、レベル) | [生物的] なし | ||||
[化学的] なし | |||||
[物理的] なし | |||||
10.解凍 | [生物的] (非芽胞菌) ・病原微生物の汚染 | ||||
・病原微生物の増殖 | |||||
[化学的] ・ヒスタミンの産生 | |||||
[物理的] なし | |||||
11.下処理 | [生物的] (非芽胞菌) ・病原微生物の増殖 | ||||
・病原微生物の汚染 | |||||
[化学的] ・ヒスタミンの産生 | |||||
[物理的] ・金属異物の混入 | |||||
12.加熱調理 | [生物的] (非芽胞菌) 病原微生物の生残 | ||||
(芽胞菌) 病原微生物の生残 | |||||
[化学的] なし | |||||
[物理的] なし | |||||
13.冷却 | [生物的] ・セレウス菌の増殖 | ||||
[化学的] なし | |||||
[物理的] なし | |||||
14.包装 | [生物的] ・病原微生物の汚染 | ||||
・セレウス菌の増殖 | |||||
[化学的] なし | |||||
[物理的] なし | |||||
15.印字、ラベル貼り | [生物的] ・セレウス菌の増殖 | ||||
[化学的] ・アレルゲンの存在 | |||||
[物理的] なし | |||||
16.冷蔵陳列 | [生物的] ・セレウス菌の増殖 | ||||
[化学的] なし | |||||
[物理的] なし |