一般的衛生管理とHACCPの関係
<PRPとHACCPの関係>
前回でハザード分析表は完成ですが、ハザード分析における一般的衛生管理(前提条件プログラム、PRPといわれることもあります。)の関係について触れておきます。
HACCPでの管理は、決定したCCPにおいて温度や時間など一定の基準を設定し、それをモニタリングすることで管理するものです。それに対して一般的衛生管理はHACCPによる管理の前提となるもので、一般的衛生管理とHACCPの基本的な特徴は以下のように表すことができます。
一般的衛生管理・PRP | HACCP |
---|---|
複数の生産ライン、工場全体にわたる | 1生産ライン(1製品)に特有の計画 |
比較的リスクが低いハザードを扱う | 起こりやすく、起きた場合の結果が深刻なハザードを扱う |
許容限界が設定しにくいものでも管理が可能 | モニタリングが可能なパラメーターで、許容限界が設定できる。 |
HACCPの特徴として「起こりやすく、起きた場合の結果が深刻なハザードを扱う」とあるように、前回完成させた6欄表での(3)の重大なハザードか否かの判断はまさにHACCPとして管理するか否かの判断要素といえるものです。そこで、(3)の判断において重大なハザードではないとする場合、PRPで管理すると判断されるものもあります。
もっとも今日では、PRPだからといってリスクが低いハザードとは言えず、下記のようなHACCPで扱うことが難しい深刻なハザードの存在が検討されています。
■複数の生産ライン、工場全体にわたるもの
1.生産ライン間でのアレルゲン交差接触
2.工場環境からのサルモネラ、リステリア・ものサイトゲネスによる汚染
■許容限界が設定できない、モニタリングが難しい
1.納入業者からの衛生管理(刺身用の魚の購買など)
2.従業員からのノロウィルス汚染
これらはCCPのような許容限界こそ設定しないものの、PRPで対処する上でCCPに近い厳しい管理が必要となることも考えられます。そこでハザード分析においては、本当にHACCPでコントロールできるものなのか、場合によってはPRPによる厳格な管理の方が有効なのでは無いか、という視点も重要です。