HACCPプランの作成④手順11(原則6) 検証方法の設定
妥当性確認と検証
原則6の検証には、妥当性確認と狭義の検証という二つの内容が含まれています。最初の妥当性確認(Validation:バリデーション)とは、HACCPシステムが有効であることを確認することです。これに対して狭義の検証(Verification:ベリフィケーション)とは、HACCPシステムが効果的に機能していることを確認するものです。
もう少し詳しく説明すると、HACCPシステムは事業者自らがPDCAを実行することでより安全な衛生管理を実現していくものです。そこでまずHACCPプランを作成する(Plan)わけですが、このプランが正しくハザードを特定しそれらをコントロールできていないものだとすれば、そもそもこのHACCPプランは機能しません。そこでHACCPプランそれ自体が有効であるか、その妥当性を確認する必要があります。
こうして妥当性が確認されたHACCPプランは、実行され(Do)その実行記録をもとに検証(Check)されます。ここでは作成されたHACCPプランがプラン通りきちんと実行されているのか、効果的に機能しているのかを日々、毎週、毎月といった一定の間隔で確認・検証します。これが狭義の検証です。またHACCPプランは前提条件プログラムがきちんと行われてこそ有効に機能します。そこで前提条件プログラムの検証も同様に行う必要があります。これらの検証結果を踏まえてHACCPプランを改善し(Action)再び実行(Do)し、また検証、改善を繰り返します。これがHACCPシステムです。
このように、検証には妥当性確認と(狭義の)検証という二つの観点があることに注意してください。
妥当性確認(Validation)の内容
- 妥当性確認の前提として、製品の安全性・有効性に関する情報を集める。
- 製品の仕様、クレーム・回収等の原因
- 各種検査結果データ 等
- HACCPプランの妥当性を確認する。
- 管理手段と管理基準(CL)の妥当性の確認
- モニタリング方法の妥当性の確認
- 記録方法(記録様式)の妥当性の確認
- 実施時期
- HACCPプラン作成時及び最低一年に一回
- 原材料や製造工程等に変更が生じたとき
- HACCPプランの欠陥またはその可能性が示唆されたとき
- 新たなハザードが判明したとき
- 製品の安全施に関する新たな情報が得られたとき
検証(Verification)の内容
- 前提条件プログラム(PRP)の検証
- SOPs(標準作業手順)は意図したように働いているか。
- 作業はモニターされているか。
- 適切な記録がつけられているか。
- 独立した観察、監査が行われているか。
- プログラムは必要に応じて改訂されているか。
- HACCPプラン(CCP)に対する検証
- モニタリングや是正記録などの各種記録の見直しを行う。
- 原材料、中間製品のサンプリングや試験検査を独立した視点から検証する。
- モニタリングに用いる測定装置の較正を行う。
- HACCPシステム全体に対する検証
- 最終製品の試験検査を検証する。
- 消費者からの苦情または回収原因の解析などを行う。
- HACCPプランにおける最近の変更を確認する。
- 現場のモニタリング作業が適正に行われているかの確認する。